大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『トラック野郎 熱風5000キロ』たらいソーメン、たまご、レバニラ炒めに大盛りライスに豚汁と馬刺2人前、小ライスにおしんこ一丁、どぶろく

トラック野郎 熱風5000キロ [DVD]
トラック野郎 熱風5000キロ

桃次郎(菅原文太)は信州を走行中、当て逃げ疑惑で警察に捕まる。訴えてきたのは西沢夏(小野みゆき)という強気な娘で、彼女は反論する桃次郎をひっぱたく。これは実は代行運送依頼中に代行業者が当て逃げしてしまったもので、長野の市場で桃次郎と再会した夏は「ひっぱたいてくれないと気が済まない」と素直に謝るが、桃次郎はおもいっきりちゅーしてしまい、またもやひっぱたかれる。一方、子供部屋増築資金のため、木曽の材木運搬業者・植松陸送で働くことにしたジョナサン(愛川欽也)だったが、危険な山道を運転中に事故を起こしてけがをしてしまう。一番星号が事故で大破してしまい、修理に一ヶ月かかるという見積もりが出て飲んだくれていた桃次郎(菅原文太)は信州へ急行。植松陸送のドライバー・ノサップ(地井武男)と共にジョナサンの仕事を片付けるが、この植松陸送で総配を務めているのがなんとあの西沢夏だった。


泣いて笑ってほのぼのできる娯楽映画、トラック野郎の9作目。
今回のマドンナは清楚なお嬢さん系ではなく、健康的なワイルド娘。本作では一番星号が修理中の時間が長いためカーアクション(?)は少なく、木曽川の急流下りや山と山の間にかかる橋の爆破など、いつものトラックバトルとはひと味違った見所がある。

┃ ジョナサン家のたらいソーメン

トラック野郎には多くの「定番メニュー」がある。その一つがジョナサン家のたらいソーメン
11人家族のジョナサン家は食事のメニューも大掛かり。桃さんも食事に招かれることが多い。料理はたいてい大皿に入っていて、各自いるだけ取る式が多いが、中でも大定番なのがでっかい金だらいに入ったソーメンである。ツユも今あるような瓶入り濃縮かつおだしとかではなく、別のなべに入っているものをお玉ですくってかける式。ジョナサンはたらいに直接ツユを投入して食っていた。

┃ ひさしぶりの生卵

ジョナサン家もうひとつの大定番が「父ちゃん、ひさしぶり」のたまご
何がどうひさしぶりかはナイショである。

┃ レバニラ炒めに大盛りライスに豚汁と馬刺2人前vs小ライスとおしんことお茶

トラック野郎と言えばドライブイン。その地方に合わせたゴージャスで大衆的なセットが毎回の見所になっており、そこで供されるメニューもまた毎回の楽しみである。
本作のドライブイン木曽路・藤村食堂」は山田吾一が店長で、看板娘の惠子(松本ちえ子)が元気に働いている。アルバイトで玉三郎せんだみつお)も勤務中。
ここで桃さんがオーダーするのが「レバニラ炒めに大盛りライスに豚汁と馬刺2人前!」。レバニラ炒め・大盛りライス・豚汁はトラック野郎の大定番メニューで、シリーズ通して頻繁に登場する。馬刺を足したのが今回のローカル色。
一方ジョナサンは子供部屋増築資金のためにお金を節約しようと、「小ライスにおしんこ一丁」そして無料のお茶、というちょっと寂しいメニュー。しかも唯一のおかずのおしんこ玉三郎にひっくり返されてしまうのであった。

┃ どぶろく飲み比べ

桃さんは西沢夏と植松陸送で働くかをかけてどぶろく飲み比べ勝負。
「♪ひとつ日雇いその日が頼り ♪ふたつ船方大漁が頼り」という数え歌とともにどぶろくを飲み干してゆく二人。桃さんは9杯目でダウンしてしまうが、夏は見事10杯を飲み干すのだった。

┃ コロッケパン、総菜パン、牛乳、かき氷、藤村食堂のメニューたち、地酒・七笑

食べ物はほかにも断片的に登場する。

  • オープニング、運転しながら軽食を取る桃さんとジョナサン。桃さんはコロッケパンにパクつき、ジョナサンはダッシュボードに総菜パンと瓶入り牛乳を山積みしている。
  • トルコに行ったことがばれて母ちゃんに詰問されるジョナサンがお詫びの印に持ってきたのが箱入りのいちご。普通は1パックでいいところだが、さすが大家族、いちごも箱単位である。直前のシーン(オープニング)でいちごやりんごといった青果貨物の積み降ろしをしているシーンがあるので、そこで求めたのだろうか。
  • 一番星号が壊れて藤村食堂でやけ酒をあおる桃さんの横で、ウエイトレスのおねいさんがかき氷を作っているシーンがある。ほかにも天ぷらそばや山菜定食、手打ちそばなどのメニューあり。ちなみにそば・うどん類は店主の山田吾一の手打ちだと思われる。
  • 木曽の地酒、「七笑」も登場。瓶はもちろん、宴会シーンでは座の中央に大きな酒樽が置かれている。