大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』ごはんと汁もの、ウィスキー

風来坊探偵 赤い谷の惨劇

美佐子(北原しげみ)は、墜落死したセスナ機パイロットである兄の事故現場を一目見ようと、まだ雪の残る赤岩岳山麓を訪れた。セスナ機は付近に広大な土地を所有する新日本開発会社の南雲社長を乗せているときに赤岩岳山頂付近に墜落し、南雲社長の顔はめちゃくちゃに潰れていたという。南雲社長から無償提供された土地にある孤児院兼牧場の上田牧場の娘・ちか子(小林裕子)の助けで事故現場にたどり着いた美佐子は地元の馬鹿チンピラたちに襲われてしまうが、颯爽と現れた西園寺五郎(千葉真一)に助けられ、事なきを得る。西園寺は新日本開発からの依頼で事故の調査にやって来た探偵だと言う。ところでその馬鹿チンピラというのが南雲社長から土地を譲り受けたと称する北東観光・鬼頭(神田隆)の部下。鬼頭は南雲社長からの譲渡証明書を持っており、上田牧場に立ち退きをせよという脅迫をはじめた。


東映版「ギターを持った渡り鳥」とでも言うべきか、日活的無国籍アクションテイスト溢れる不思議な作品。
日活アクションにおける“スペードのジョー”的キャラクターを“スペードの哲”として曽根晴美が演じている。ハットのヒモをアゴのところで留めており、その留め具がスペード型というところがオチャメ。アキラポジションはもちろん千葉チャンだが、小林旭よりさわやか&元気な雰囲気でカワイイ。
やたら景気よくぶっ放される銃と無駄に広大な平原と山岳地帯は日活テイストだが、脚本の完成度やアクションは東映的。キイハンターとか、ああいうオモチャ風テイストな東映感です。

┃ ごはんと汁物の貧しい食事

上田牧場は孤児院も兼ねているため、食事は子供たちと一緒の大所帯。鍋やおひつからごはんと汁ものが給食のようによそわれていた。

┃ ウィスキー

上田牧場のお父さんをナワで引っ掛けて馬で引きずり回した馬鹿チンピラ、それじゃもう牧場はできまいと大喜び。北東観光ではお祝いパーティーまで始めてしまう(馬鹿すぎる……)。北東観光の雇われ用心棒・スペードの哲はそれを遠巻きに見ながらひとりウィスキーをあおるのであった。