大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『狼やくざ 殺しは俺がやる』ペロペロキャンディ、バナナ、スコッチとウィスキー、吊るされた鶏、どぶろくとナポレオンの上、リンゴと牛乳、こんにゃくと豆腐の混ぜたもの、目玉焼き(バター風味希望)

狼やくざ 殺しは俺がやる

組長が殺害されたことにより瓦解し、幹部までもが敵方へ寝返った氷室組。長く家を離れていた組長の子息・剛介(千葉真一)は地元へ帰ってくると、ライフルを手に氷川組長を殺害した関東誠心会の面々、裏切った元幹部らを次々殺戮してゆく。彼は行方不明になった妹・京子(渡辺やよい)を探していたが、彼女は元幹部の大沼(室田日出男)に強姦されその後は行方知れずらしい。京子が関東誠心会の経営する秘密クラブにいるという情報を聞きつけた剛介は秘密クラブの情報を求める。しかし彼の前には関東誠心会の用心棒(葉山良二)や剛介と同じく関東誠心会に恨みを持つ男(佐藤允)が立ちはだかる。


ハードボイルドアクション映画。かなり一本調子なのが気になるが、これはこれでこういうテンプレということなのだろう。佐藤允が何者なのか、今キネ旬のサイトで調べて初めてわかった。

┃ 色とりどりのペロペロキャンディ

関東誠心会のバカチンピラがいつも手にしているのがペロペロキャンディ
色はオレンジ→赤×黄色→ピンクとシーンによって変化する。最後のピンクは、このペロペロキャンディで対抗組織の輩の頭を殴ったため、木っ端微塵に砕け散る。ペロペロキャンディってそんなに脆いものだったかしらん。

┃ 立派なバナナ

同じく関東誠心会のバカチンピラたちがバーでモグモグするのがバナナ
カウンターに置いてあるバスケットに入っていたものを勝手に食っているのだが、これが結構ご立派なバナナだった。カウンター上のバスケットには他にも梨、グレープフルーツなどが盛り合わせにしてあった。

┃ スコッチとウィスキーのバトル

千葉チャンと葉山良二がバーのカウンターで初めて顔を合わせるシーン。
ここで千葉チャンはスコッチを注文するのだが、葉山良二がバーテンに言ってウィスキーを出させる(葉山良二のおごり、という意味ね)。しかし千葉チャンはそれを拒否、バーテンに一気飲みさせ、逆に葉山良二にウィスキーを奢るが、葉山良二がこれもバーテンに飲ませてしまう。2杯も続けて飲まされたバーテンは「おふたりともこれでおしまいですよね!?」と勝手に終了宣言していた。

┃ 吊るされた鶏

くだんのペロペロキャンディのチンピラは街角で千葉チャンに締め上げられる。そのとき彼が押し付けられたのが中華料理屋だか肉屋だかのウィンドウで、ウィンドウの中には吊るされた鶏がたくさん並んでいる。羽をむしられたまるまるのヤツが、照り焼きにされているアレ。それを見て「おれもつるされる!」とびびったチンピラは一発でキャッとなったのであった。

┃ どぶろく、ナポレオンの上

千葉チャンや佐藤允がライフルを手に付け狙っているとも知らず、チンピラたちはバーで「俺どぶろく!」「ナポレオンの上!」などとでかい顔をする。このあたり、同じようなシーンのリフレインが続き、話の構図がどうなっているかわかりづらかった。

┃ 朝食のりんごと牛乳

関東誠心会会長・和泉(南原宏治)がリビングで子分たちを前に摂っている朝食のメニューがリンゴと牛乳
リンゴはうさぎさんではなく、普通に皮まで剥いたものだった。それでもちょっとカワイイ。

┃ こんにゃくとお豆腐の混ぜたの、目玉焼き

千葉チャンの情婦(関東誠心会の売春婦)が千葉チャンのためにクッキング中。いきなり千葉チャンに「あんた何が好き?」と訪ねる。映画的にえらい浮いた台詞だ。女は続ける。「私はこんにゃくとお豆腐の混ぜたのが好き」。今度作ってみる、だそうである。
そしてフライパンをじゅーじゅーしながら長い独り言。「私、何も出来ないけど目玉焼きは出来るの。昔の男が好きでよく作らされたわ。油はバターじゃなくちゃだめだって言うんだけど、普通の油でも変わらないよね? あら、焦がしちゃった。いいわ、これは私が食べるから」。というわけで、作っていたのは目玉焼き。しかもこれ、(千葉チャンの好きな)スコッチのおつまみにするつもりらしい。スコッチと目玉焼きって、組み合わせとしてはどうなのだろう。カリカリにしてこしょうたっぷりならいけるか?

┃ ゴキブリをグラスで捕まえフォークで刺す

食べ物とは関係ないが、バーのカウンターで千葉チャンがグラスでゴキブリを捕まえる(?)シーンがある。このとき、ゴキブリが「ジジ」と鳴いていたのが怖かった。そしてそのゴキブリはフォークでぶっ刺された。