大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『博徒七人』生たまご、七輪で焼いたさんま


博徒七人

片目の博徒・柏木半次郎(鶴田浩二)と片腕の男・鉄砲松(藤山寛美)は、報酬目当てに沖の島の採石場へやって来る。この島の採石場には顔にケロイドのある兵隊安(大木実)という男がいて、井戸政(金子信雄)の採石事業を邪魔しているという。彼らはその用心棒に雇われたのだ。半次郎は同じく井戸政に雇われた片足の坊主・一貫(山本麟一)、盲人の針使い・勝(待田京介)と共に兵隊安に対抗しようとするが、実は本来採石場は地元・石兼(佐々木孝丸)一家の事業であり、利権に横入りしてきたのは井戸政のほうだったのだ。

登場人物7人が身体障害者ということで有名な作品だと思うが、作り自体は非常にオーソドックスでのどかなものだった。
その7人は片目の鶴田浩二=もちろんドス使いの博徒、片腕のチャラ男・藤山寛美=6連発の鉄砲を器用に使いこなす、怪僧・山本麟一=名古屋弁がおちゃめな馬鹿力拳法使い、盲人・待田京介=博多弁で吹き針の名手、顔に爆傷を持つ大木実=なぜかサーベルを持っている、せむしの小松方正=採石用の巨大釘二刀流れでやたら高くジャンプする、口のきけない山城新伍=鎖分銅使いとかなりコッテコテのキャラ設定で、かつ皆明るく元気なのだが、その設定がまったく活きていないホニョンとしたストーリーとほのぼの演出にずっこける。つまりは普通の任侠映画なのだ。しかしそんなほのぼのが良い。
そして、謝れば許してもらえると思っている鶴田浩二がナイス。桜町弘子の指輪を騙し取った状態の藤山寛美に注意はすれど、ヤツがちゃんと返したかとか全く確認してないし。

┃ 生たまご

島の女郎屋・突撃亭のおカヨちゃんが気に入った藤山寛美は彼女のもとへ入り浸り、桜町弘子から預かっていたダイヤの指輪を彼女にプレゼントしてご期限を取る始末。枕元にはかごに山盛りの生たまご。馬鹿な藤山寛美はそのうち2個を湯呑みに割り入れ、ぐいっと飲み干すのであった。
ちなみに突撃亭に貼ってるビールのポスターはキリンビールのものである。

┃ 七輪で焼いたさんま

井戸政の正体を知り、一家のもとを離れた鶴田浩二は、島の酔いどれ医者・西村晃の家へ押し掛け下宿することに。ちょうどそのとき西村晃は飯の支度でさんまを七輪で焼いているところ。鶴田浩二はうざがる西村晃を無視して、焼き上がったさんま2尾の乗った皿を勝手に手に取り、つついて食ってしまうのだった。鶴田浩二、自由!!!
なお、西村晃は常に薄緑色の酒瓶を抱いていて、アル中気味。

┃ おにぎり

おにぎりが出てきたはずだが、どこで出てきたのか忘れてしまった……。確か小松方正山城新伍が三池監獄からの脱獄囚だと告白してからなので、わりと最後のほうだったはず。