大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『くノ一化粧』みかん、カステラ、柿


くノ一化粧

豊臣家の残した莫大な財産を巡り対立する由比正雪(原健策)と松平伊豆守(原田甲子郎)。財宝のありかの手がかりとなる6個の鈴は、天姫(弓恵子)と女忍者5人がその体内に隠し持っていた。徳川方に恨みを持つ天姫は由比と手を組んでおり、鈴の一つはすでに由比に預けられていた。松平は臣下の忍者・服部半助(多々良純)を使って6人の男忍者たちを呼び集め、女忍者たちの持つ鈴を来年の正月までに入手しようとする。男忍者・天草扇千代(露口茂)、鴬道忍(西村晃)、真昼狂念(小沢昭一)、篝火兵部(脇中昭夫)、十六夜鞭馬(芦屋雁之助)、百済水阿弥(加藤武)は長崎で女忍者たちと対戦するも、天姫の術によって首領・扇千代は目を縫い閉じられて盲目となる。そんな彼を遊女・伽羅(春川ますみ)は献身的に介護するのだが、扇千代の悩みは深く……


驚くほど中身のないエロティック忍術活劇。
中身はないが突っ込みどころは満載。これのニュープリントを西村晃特集に合わせて焼いたラピュタ阿佐ヶ谷、すばらしいと言わざるを得ない。オチはさすが中島貞夫、ぶん投げに見えるが、イヤなリアリズムを感じるシニカルさである。

┃ みかん

長崎に着いた男忍者たちは遊郭街をうろつく。坂道に作られた遊郭街では、みかん売りが荷車に山盛りのみかんを商っている。長崎だからみかん。恐るべき安直さである。

┃ カステラ

西村晃芦屋雁之助(確か)が茶屋でお茶のおともにカステラを一本まるごとモッシャモッシャかじるシーンがある。長崎だからカステラ。恐るべき安直さというか、何も考えていないのではないかと疑うレベルのすごいシーンだった。

┃ 柿

山中をうろつく西村晃小沢昭一。ルンパッパと歩いていたところ、おや、こりゃ立派に熟れた柿がなっているぞと、目の前の枝にぶら下がっているを落として二人でもしゃり。しかしそれは渋柿で、二人はブハーと吐き出してしまうのだった。
この二人、尼さん女忍者の気を引こうと小沢昭一が女に変化し、西村晃と濡れ場を演じてみせるのだが、小沢昭一は馬鹿だったので寸止めが出来ず、マジで西村晃とチューしてしまうのであった(その頃には尼さん忍者はもうおらず、チューした損)。あと、西村晃は、もみじが全身に貼り付いて犬の群れに追いかけ回されて死んだ。