大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『真紅な海が呼んでるぜ』定食の山盛り飯、船での朝食、チェリー・ネーブル・たまご・砂糖・肉


真紅な海が呼んでるぜ

津川了次(渡哲也)は兄・雄作(二谷英明)が船長を務める貨物船「賭運丸」の乗組員として働いていた。香港から神戸への航海中、了次は貨物庫に真弓(中原早苗)という商売女が乗り込んでいることに気づく。兄が密輸に手を染めていたことは承知していた了次だったが、そればかりか密航の手助けをしていたという事実に彼は驚き、兄を激しく非難する。賭運丸はやがて神戸へ到着し、真弓は何か暗い事情がある様子を見せながらも港町のナイトクラブで働くことに。一方、了次は商船学校時代の親友の妹・萩村葉子(松原智恵子)の働く食堂を訪ねる。了次は卒業航海の際に自らの過失で親友の萩村を失い、葉子はそれを恨みに思い今でも了次を許していなかった。ところで、葉子は父の残した莫大な借財のせいで地元の荷役業者・本郷(金子信雄)から妻になることを強要されていた。事情を知った了次は彼女のかわりに金を払おうと、兄に借金を頼み込むが……


日活アクションの定番、船舶・港町もの。デビュー3作目の渡哲也がぴちぴちで可愛い。
ストーリーは途中までは普通の日活アクションなのだが、途中から「ええっ!?」と目を疑うような予想外すぎる展開に。なぜああなったんだ。なお、『紅の流れ星』や『赤い波止場』に登場する神戸の丘の上の邸宅が本作にも登場。高台にある可愛らしい洋館という景観を活かしたショットが使われている。

┃ 定食の山盛り飯

松原智恵子の働く定食屋・珊瑚亭は船員やら港湾労働者やらで賑わっている。松原はウェイトレス兼おかみさん、中国人?コックの青年が彼女の手助けをしている。珊瑚亭での定食のごはんは、どんぶりに白飯山盛り、たくあんが添えられている。

┃ 船での朝食

二谷英明&渡哲也兄弟は、港に停泊中も船で寝泊まりしているらしく、朝食を船の中の二谷の部屋(?)で二人テーブルに向かい合ってとっている(上のスチール写真参照)。メニューは洋食。平皿に切った食パンが何枚か、テーブルの上にフルーツを乗せた台が置かれているのが見える。少し贅沢そうな印象。

┃ チェリー・ネーブル・たまご・砂糖・肉

中原早苗と暮らし始めた渡哲也。渡が兄に頼まれた用事で大阪へ行っているあいだに、中原は幸せそうに近所へ買い物に行く。買うものはチェリー・ネーブル・たまご・砂糖・肉。しかし、渡は彼女の待つ家には帰らず、兄とともにまた長期航海の旅に出るのであった。
……ってこのあたり、ストーリーがむちゃくちゃすぎて全然意味わかりませんでした。そもそも、松原智恵子とくっつかず中原早苗とくっつくのが予想外すぎて……。そして結論が「おにいちゃん大好き☆」。謎。