大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『やくざ対Gメン 囮』官弁と差し入れ弁当、やたら太いウィンナーとサンドイッチ、おにぎりとたくあん、優雅なモーニング

やくざ対Gメン 囮

神戸箕浦組の麻薬密売仲介人・伊勢定男(松方弘樹)は大阪地区管轄のGメン(渡辺文雄曽根晴美他)に麻薬取引現場を押さえられて現行犯逮捕されるが、Gメンの密偵となり香港の麻薬シンジケートの情報をGメンに流すことをを引き換えに釈放される。伊勢は名古屋から来た麻薬取締官・阿久津竜介(梅宮辰夫)を旧友として組に紹介し、客分待遇を得させることになるが、阿久津の強引な捜査がもとで組に損害が生じ、代貸らからは疑いの視線を受けることになる。一方、香港の麻薬シンジケート“Sグループ”の幹部を逮捕した大阪地区Gメンは、李忠信(菅原文太)というボスの存在を知る。阿久津は李の逮捕に執念を燃やすが、彼の手荒な行動は警察から目をつけられるという事態を招いていた。伊勢は阿久津に協力し、大阪地区Gメンらを出し抜いて李に接触しようとする。


麻薬取引を生業とするやくざと強硬なGメンの友情もの。
伊勢から阿久津への、異様なまでに熱い友情にちょっと驚く。


┃ 官弁と差し入れ弁当

Gメンに逮捕され留置所にぶちこまれた伊勢、おなかすいたーっという時に牢に戻されると、床に小さな弁当箱が置いてあるのを発見。飛びついて蓋を開けるが、中身を観た瞬間、伊勢は弁当箱を放り投げてしまう。中身が見えないままひっくり返されるので一体何が入っていたかはわからないのだが、相当粗末なものだと思われる。
と、そこにタイミングよく(?)Gメン・藤岡重慶が現れる。伊勢の情婦が来て、替えの下着と差し入れの弁当を持ってきたらしい。下着は渡せるが食べ物は渡せないということで、差し入れ弁当を口に入れることができない伊勢であった。

┃ やたら太いウィンナーとサンドイッチ

スパイになることと引き換えに釈放された伊勢は、早速情婦・三島ゆり子のアパートを訪ねる。もちろん彼女は伊勢を大歓迎。
伊勢はここで何故かやたら太いウィンナーをかじり、三島は具がたくさん入った野菜のサンドイッチを食べている。すぐ釈放されたとは言え、つつましやかな食事……と思ったら、伊勢が「こんなん使っとんのとちゃうかー」と涙がこぼれるほどの定番親父ギャグをかましてくれたので、安心した。
ウィンナーと言えば、田中登監督『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』で、何人目かの女がやたら太いウィンナーを咥え……というかしゃぶりながら全裸で変な踊りを踊るシーンがあったが、あのとき、安藤先生がいまにも吹き出しそうな顔をしていたこと、私は忘れない……。

┃ おにぎりとたくあん

香港の麻薬シンジケートにつながる幹部・遠藤辰雄を逮捕した大阪のGメンたち。しかし同国人を大切にする中国人はなかなかボスの正体や居所を吐かないため、勾留期限が迫ってくる。そんな焦燥に追い込まれるGメンたちの捜査本部(会議室)のテーブルの上に置かれているのがおにぎりとたくあん。巨大な皿に山盛りに盛られている。夜食用だろうか?

┃ 優雅なモーニング

香港の麻薬シンジケートのボスは「李忠信」という男だと判明。彼は高級マンションに日本人の妻、幼い息子と共に暮らしていた。そんな李忠信一家の朝食の風景が写る。広々としたダイニングの大きなテーブルには洋式の優雅な朝食が並べられている。奥さんは息子に何かを食べさせながら「いっぱい食べてパパみたいに大きくなりましょうね♪」と言っている。ちなみにパパ=菅原文太である。でけえよ。いや、菅原文太の場合、大きいというか、スタイルがいい(身長は多分178cmくらい)と言ったほうがいいかもしれないが……