大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『愛欲の罠』野菜サラダとフライドポテト、目玉焼き・トースト・牛乳・グリーンサラダ、玉ねぎ・長ねぎ、スープ・パン・ステーキ、スナック菓子、おしゃぶりこんぶ、カキフライ・やきそば


愛欲の罠

凄腕の殺し屋・星(荒戸源次郎)は組織の幹部・高川(大和屋竺)から受けた「自分の組織の大幹部を射殺して欲しい」という依頼を遂行し獲物を為留めるものの、あろうことか情婦・眉子(絵沢萠子)を車の助手席に乗せて殺しの現場を見に行ってしまったため、組織上部が高川の企みを割り出すという事態に至る。高川は眉子を殺害しろとの命令を星に下し、彼はそれを遂行するが、ある日星がいつものように銃に取り付けたスコープで近所のゴルフ練習場を覗き見していると、そこにはなんと殺したはずの眉子の姿があった。


ATGとロマンポルノを悪魔合体させたような映画。かなり辛いものがある。

┃ 野菜サラダとフライドポテト

星が情婦・眉子の家で食べる夕食。テーブルの上にはやたらでかいボウルに入ったグリーンサラダ、星・眉子それぞれに、フライドポテトなどが盛られた平皿。はっきりは見えないが、メインはチキンのクリーム煮っぽいチマチマした一口サイズのもの。絵に描いたような「夕食のテーブル」すぎてリアリティがまったくないのがわざとなのかわざとでないのか判断しかねる。

┃ 目玉焼き・トースト・牛乳・グリーンサラダ

同じく星が情婦・眉子の家で食べる朝食。大きな丸皿に乗せられたWの目玉焼きと添え物ロールパン瓶の牛乳、やたらでかいボウルに入ったグリーンサラダ。夕食と同じく、絵に描いたような「朝食のテーブル」すぎてちょっとすごい。

┃ 玉ねぎ・長ねぎ

星の隠れ家にはアイスのショーケースみたいなもの(小さいスーパーとか駄菓子屋の片隅にあるような冷凍ショーケース)がある。中には玉ねぎ長ねぎ、紙チップのような詰め物が入っており、その下に彼の商売道具である銃が隠されている。

┃ スープ・パン・ステーキ

実は生きていた眉子。彼女が隠れていた別荘で星が彼女と食べる食事がスープ・パン・ステーキ
……この映画の食事シーンの嘘くささは一体なんなんだろう。食卓の風景が異様に不自然なのだ。「自分ではまったく料理しない人が映画とか漫画とかを参考にして“食事の支度って、こんな感じ?”と手探りで、かつ見た目だけ作った食卓」と言うべきか……。具体的に言うと、人数に対して出されている料理の量が多すぎるなど、分量のおかしさ。メニューがあまりに絵に描いたようなメニューすぎること。テーブルウェアが普通の生活ではありえないものを使っていること。以上の点からかなりの不自然さが感じられるが、わざとやっているのだろうか……。正直なところ、フードコーディネーター的な役割を担う小道具担当の方が料理関係に暗かったのではと思わざるを得ない。

┃ スナック菓子

高川と眉子が謎の腹話術師殺し屋に殺された後、星はあるうらぶれた「ちょんの間」に長期滞在する。その看板娘・夢子(安田のぞみ)はスナック菓子をポイッと放り投げるようにして食べている。商品名は見えないが、小さめの透明の袋で、中身はポテトとかとうもろこし系の小粒のフライ菓子っぽかった。

┃ おしゃぶりこんぶ

九州弁の不思議な殺し屋が星との空気銃狙撃勝負のときに口にくわえているのがおしゃぶりこんぶ。なぜおしゃぶりこんぶなのか不明。

┃ カキフライ・やきそば

ちょんの間でプレイ中に出される夜食がカキフライとやきそば。ばばあがいきなり襖をざっと開けて手だけ出して2つの皿をどかんと置き、また襖をざっと閉める。これがまた二人という人数に対して量が多いという謎……。しかもなんでこんなコッテコテのメニューなんだ。カキフライなんか2-3個も食べれば十分なのに、超山盛り。しかも照明が薄暗いせいか、まずそうなんだよこれが。星は夢子の体をテーブルにして焼きそばをすすり、夢子は四つん這いになりながらカキフライを食べる。もちろんプレイ中。