大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『リオの若大将』リオの日本料理屋のご飯とお新香、胃けいれんに効く漢方薬、ブラジルのコーヒー、まんじゅう、田能久のすきやき、コカコーラ、コピーショップでコーヒー、のり・日本茶・梅干し・うに・佃煮・お米2升、機内食、花瓶おかゆ・さばの開き、お茶席で頂くお茶、巨大おにぎり

リオの若大将 [DVD]
リオの若大将

若大将(加山雄三)は平山教授(宮口精二)のおともでリオ・デ・ジャネイロの造船所へ行く。明日は日本へ帰るという晩、若大将は造船所の谷村技師長(北沢彪)から招待された料理屋で胃けいれんに苦しむ宇野老人(左卜全)に漢方薬を譲り、宇野は無事体調を取り戻した。このことで、宇野を接待していた旅行会社社員の押田澄子(星由里子)は若大将に好感を持つ。帰国した若大将は谷村技師長の娘・江美子(中尾ミエ)とエレキ合戦で対決することに。ところが若大将のバンドに参加していた青大将(田中邦衛)のインチキによって若大将は落選、江美子のバンドが優勝した。澄子がエレキ合戦を観に来ていたのに、若大将は江美子との約束により彼女に食事を奢るため会場をすぐ出ることになってしまう。そして夏休み。若大将は平山教授のお使いで再びリオへ旅立つことになり……。


タイトルそのまんま、若大将がリオへ行く話。完全にいつも通り&テンプレート通りの内容で、シリーズもののマンネリをここまで割り切っているのもすごいなと感じさせられる。


┃ リオの日本料理屋のご飯とお新香

教授のおともでリオへ行った若大将は、谷村技師長(北沢彪)から招待された日本料理屋(料亭)で教授と技師長の話は上の空でご飯とお新香にがっつき、おひつのご飯を一人でたいらげてしまう。東宝系の俳優さんは劇中で料理を出されても本当には食べない(食べたふりをする)ことが多いように思うが、加山雄三は毎回ガチ食い。DVDについているオーディオコメンタリーでも共演者が「加山さんは本当に食べていた」と発言している。

┃ 胃けいれんに効く漢方薬

リオの日本料理屋で胃けいれんに苦しんでいた左卜全に若大将が差し出したのがおなかに効く漢方薬。おばあちゃん(飯田蝶子)が持たせてくれたものらしい。さすがおばあちゃん、孫が大飯食らいということをよくわかっていらっしゃる。

┃ ブラジルのコーヒー

若大将からおばあちゃんへのブラジルみやげはコーヒー。1kg入りの袋。

┃ まんじゅう

若大将が旅先から便りをよこさなかったことでへそを曲げていたおばあちゃん。だが実は若大将はおばあちゃん宛にはがきを出しており、そのはがきの到着より先に若大将が帰ってきただけのことだと知ったおばあちゃんは、あっという間に機嫌を直し、若大将の妹・照子(中真千子)を訪ねてきていた来客・江口(江原達怡)に出すはずのまんじゅうを若大将にあげてしまう。

┃ 田能久のすきやき

澄子の旅行者の手配で来日した左卜全が田能久に来店。東京いち美味しいすき焼きを堪能する。店内はサンバのリズムで大騒ぎに。

┃ コカコーラ

エレキ合戦の楽屋で、青大将が結果発表の後に飲んでいるのが瓶のコカコーラ

┃ コピーショップでコーヒー

若大将は同級生・悦子(松原光子)から期末試験対策にドイツ語のノートを借りる。青大将もそのノートを写したがるのだが、手で書き写していると悦子に返す期限をすぎてしまうので、青大将が若大将をコピーショップに連れて行く。このコピーショップというのが今のキンコーズなどとはシステムが少し違っており、受付で原稿を渡すと女の子がコピーを取ってくれて(1枚20円)、客はそのあいだ併設のゴーゴーバー風のカフェでコーヒーを飲んだり漫画を読んだりして待つというシステム。当時はこんなカフェがあったのかな? ピンク色の内装がかわいい店だった。

┃ のり・日本茶・梅干し・うに・佃煮・お米2升

夏休みにも教授のお使いでリオへ行くことになった若大将。おばあちゃんが世話を焼いてのり・日本茶・梅干し・うに・佃煮・お米2升などなどの日本食をスーツケースに詰めようとしてくる。若大将は向こうの飯も結構うまいのでそんなにいらないよと言うが、おばあちゃんは食べなかったら現地在住の日本人の人にあげなさいと、たくさんの日本食を荷物に詰めてしまうのであった。しかしこれが後々彼を助けることに。

┃ 機内食

リオ行きの飛行機の中で江美子(中尾ミエ)に再会した若大将。
エコノミークラスに乗っている若大将の機内食パン・ステーキ他。ファーストクラスに乗っている江美子がサービスのお酒を持ってきてくれる。
なお、航空会社は言うまでもなく東宝の定番・パンナム

┃ 花瓶おかゆ・さばの開き

若大将はリオでベンチャーズに再会するが、演奏旅行に来たはずの彼らは青大将の滞在費用使い込みによってご飯も食べられずに困っていた。そこで若大将は、自分は買い出しに行ってくるから、そのあいだにホテルの電熱器(お湯を沸かす用に各部屋に備え付けてあるもの)を使ってご飯を炊くようにとベンチャーズに言う。おばあちゃんの持たせてくれたお米がここで役に立ったのだ。
ご飯を炊く容器に困ったベンチャーズはベランダに飾ってあった花瓶をお鍋代わりにおかゆを炊き、勝手に若大将の荷物をあさって、中から出てきたサバの開きを炙ろうとする。ところが焼いている最中に煙がもうもうと出てしまい、帰ってきた若大将が火事と間違えて水をかけてしまうというオチがつく。

┃ お茶席で頂くお茶

若大将は江口の就職を頼みに青大将の家を訪ねる。青大将の家の庭には広い芝生があり、そこにお茶席の用意がしてあって、若大将は足をしびれさせながら青大将が立ててくれたお茶をいただく。しかし、青大将はパパにおしゃべりしながらお茶を立てるのは品が悪いと叱られるのであった。

┃ 巨大おにぎり

自分の就職紹介のため、若大将が青大将から頼まれた引き換え条件で澄子を諦めたと知った江口。江口はある日の夜、若大将の家を訪ねてきて、やはり就職はあきらめると言う。若大将は照子のことはどうするんだと言うが、江口は照子と結婚して田沼家の婿養子になり、田能久ののれんを継ぐと言う。ここでおばあちゃんが持ってくるのが夜食の巨大おにぎり。のりが巻いてあるまるっこいおにぎりである。おばあちゃんは江口の婿入りに大賛成、江口は安心しておにぎりを食べるのであった。