大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『喜劇 爬虫類』洗濯洗剤がけご飯vsビフテキとパン、たくあんのしっぽと蛇vsビフテキ、駅弁とみかん、農薬、睡眠薬入りビール

あの頃映画 「喜劇・爬虫類」 [DVD]
喜劇 爬虫類

あやしい三人組、関(渥美清)、山口(西村晃)、露木(大坂志郎)、そして彼らの手伝いの若造・佐倉(森下哲夫)の三人は、メリイ・ハロー(テリー・エンジェル)なる金髪美人ストリッパーを抱えて温泉場をドサ廻りしている。外国人ヌードの全ストは大好評、元小学校の算数教師だった関によるしっかり経理で安泰稼業であったが、あるとき県警風紀係の米田刑事(伴淳三郎)に頼まれ形式だけ指導……かと思いきや全スト興行を3日間禁止されたものだからさあ大変。知恵を絞って鞍馬天狗の芝居風のストリップでその窮地を切り抜ける。そしてまた色々ありつつも次の温泉地に移ってゆく彼らだったが、関と山口がそれぞれ個人的な理由から大金が必要な事態に陥り……


コメディ映画だが、うさんくさい豪華キャスト陣に比べ話がいまいちぱっとせず。

┃ 洗濯洗剤がけご飯vsビフテキとパン

巡業先のストリップ小屋では炊事場を借りて自炊しているメリイ・ハロー一座。炊事係は若造・森下哲夫である。
まずはメリイの食事、ビフテキとパンが先に出される。ちゃんと洋食器で、カトラリーもナイフとフォーク。おいしそうなビフテキを遠慮なくモグモグするメリイに、食事を待っている渥美清&西村晃&大坂志郎はよだれがダラダラ状態。三人は別に手伝いもしないくせに森下をせかすので、怒った森下は彼らに出すご飯に洗濯用洗剤を振りかける。
というわけで出て来た山盛りご飯、めざし・たくあんのっけ、洗濯洗剤がけであるが、渥美清「(干してあるメリイの下着をくんくんしながら)洗濯物のすすぎが足りねえんじゃねえか?」大坂志郎「なんかコナっぽいな」と文句を垂れつつもご飯を平らげてしまう。もちろんその夜がゲリピーな三人なのであった。


┃ たくあんのしっぽとトカゲと蛇vsビフテキ

伴淳刑事のせいで興行が大変なことになって、不機嫌な西村晃
頑張って働いたのに、毎日の夕飯が目刺と沢庵とご飯なことに怒っているが、大坂志郎がメリイからステーキの残りを譲ってもらって「ソロモンよ、メリイさんのおあまり頂こうよ」と言ってきたものだから大激怒。「俺は毛唐の残飯ありがたがるほど落ちぶれちゃいねえよ!」と激昂する。それに対して大坂志郎が「しゃあねえじゃねえか、アメリカ人は生活のレベルが違うんだからさあ。テレビで見たけどよ、アメリカの兵隊は最前線でもビフテキ食ってたね。たくあんのしっぽかじってた日本の兵隊とはスケールが違ぁわ〜」と言ったのが西村の怒りに油を注いだ。
 西村晃 「俺はな、帝国陸軍の生き残りだぞっ!
      ソロモンじゃトカゲ食って戦ってきたんでぃ!
      たくあんのしっぽで悪かったな!」
 大坂志郎「落ち着けよソロモン、蛇も食ったんだろ、
      なにも目刺なんかで文句言うことはねえだろ?」
 西村晃 「ちくしょーこのやろーーーーーーー!!!」
と大げんかに発展し、西村晃は家出(?)してしまうのであった。

┃ 駅弁とみかん

が、やっぱり寂しくて、渥美清一座の次の巡業先へ移動する列車にもコッソリ一緒に乗ってしまう西村晃
トイレで大坂志郎と顔を合わしてしまうのだが、それを照れてごまかすのに、なぜか突然みかんを「食べないか?」取り出す。
そして駅弁をぱくついている渥美清らの席へついてきて、無事仲直りするのであった。よかったね。

┃ 農薬

昔の兄貴分に脅された西村晃は、渥美清が管理している積立金を狙って農薬を購入。薬局の店員から「相当の劇薬でございますから、取り扱いに十分注意して頂けませんと」と言われるが……。
 西村晃「すると、ニンゲンにもだいぶ効くのかい?」
 店員 「ええ、そりゃあもう…… ……ひへぇぇ!?」
そしてまた渥美清も同じ薬局で同じ農薬を買い、西村晃とまったく同じことを聞くのであった。

┃ 睡眠薬入りビール

金がらみで再びチームが決裂しかけたとき、メリイがブローカー・九条(小沢昭一)に連れてゆかれてしまうという事件が発生。ブローカーはメリイの正体(実は夫がベトナム戦争に行っていて暇を持て余している主婦)を知っており、彼女の夫が帰ってきたので連れて帰るというのだ。渥美清&西村晃&大坂志郎森下哲夫のアドバイス(?)で九条を始末することに。
その作戦というのが、「クラブに連れ出して睡眠薬入りビールを飲ませ、昏倒したところで線路に放置してそこへやってきた汽車がズバーーーーーーーーーーン!!!」というものだった。西村晃小沢昭一をさびれたクラブに連れ出し、睡眠薬を溶かしたビールを飲ませるが、5包飲ませても小沢昭一はまだ眠らない。おかしいと思っていたら、小沢昭一睡眠薬が効きにくい特異体質で、しかも睡眠薬遊びの常習犯でだいぶ耐性ができてしまっていたのだ。
仕方ないから西村晃は瓶1本分ビールに溶かし込んでヤツに飲ませ、やっとの思いで昏倒させることに成功。しかし合わせてビールを飲んでいた西村晃も酔っぱらって昏倒してしまったのであった。