大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『兄貴の恋人』朝ご飯・牛乳、お茶、送別会、マスカット、夕ご飯、コカコーラとクラッカー、ウィスキーとカクテル、バー・武蔵野

兄貴の恋人 [DVD]
兄貴の恋人

女子大生の北川節子(内藤洋子)は、商社に務める兄貴・鉄平(加山雄三)のことが大好き。兄貴に縁談が起きると相手にケチをつけて、破談になるのを望んでいるような子だった。ある日、鉄平の同僚・和子(酒井和歌子)が叔父の店を手伝うために退職することになった。和子と和子のかわりに営業部に転属してきた久美(岡田可愛)と節子は友達同士だったため、鉄平の行動はすべて節子に筒抜け。節子はモテモテの鉄平の女関係をすべて把握しているつもりだったが、実は鉄平は上司の紹介で大会社の専務の令嬢・緑(中山麻理)との縁談が進んでいた。しかし、鉄平は和子のことが気になっていたため、縁談はうまく進まない。和子は和子で複雑な家庭の事情があり、鉄平と交際することを拒んでいた。節子は二人の仲がうまくいかなかったことを喜んでいたが、次第に……


兄妹ものとして最高な映画である。
ちょっと異常じゃないかと思うほどにお互いを好きな兄妹、兄・妹それぞれのガールフレンド・ボーイフレンド、彼らを取り巻く大人たち、すべての設定が最高すぎる……。キャスティングともに文句なし。兄貴が妹を「デコスケ」と呼んでいるところなど特にイケている。妹のピアノの先生がレズというのもなかなかすごい設定でナイスだ。兄貴役が加山雄三というのにはじめ首をかしげたが、実際観てみると加山雄三で正解。北川一家が住んでいるのが阿佐ヶ谷というのも個人的に配点が高い。


┃ 朝ご飯・牛乳

北川家の朝食はいつもグッチャグチャ。兄貴はやたらをバカバカ食うし、お父さん(宮口精二)は牛乳を飲んで牛乳髭をつけたままトイレに行くし……。妹・内藤洋子はそれを「フケツ!」と言っている。

┃ お茶

営業部のお茶はいままで酒井和歌子が入れていたが、彼女が退職したあとは穴埋めに転属してきた岡田可愛の仕事に。酒井は岡田にお茶の淹れ方と、どれが誰の湯呑みかを説明。加山雄三の湯呑みが欠けていたので、酒井はかわりの湯呑みを購入してきていた。
お茶の淹れ方の極意は「あんまり熱くなく、ぬるくなく」であるが、岡田は毎回淹れ方を失敗するのであった。

┃ 送別会

酒井の送別会を計画した岡田と内藤だったが、時間になっても加山が来ない。加山は同僚に誘われて麻雀に行ってしまったのである。
送別会の会場は半個室のレストラン。ピンク系の可愛らしい内装で、いかにも女の子が好みそう。料理ははっきり写っていなかったが、たくさんの料理をちょっとずつ頼んでいるようだった。これも女の子っぽくて良い。

┃ マスカット

北川一家は仲がいいらしく、マスカットなどのデザートも家族みんなで食べている。

┃ 夕ご飯

北川家のシーンではしばしば食事の場面が写るが、食卓に出ている料理や盛りつけ、出し方にリアリティがあるのが特徴。
夕ご飯のシーンでも、メニューははっきり写っていないものの、出されているサラダの分量など、四人家族の食卓に普通にとけ込むものであった。

┃ コカコーラとクラッカー

内藤へ加山の女関係を報告しに北川家へやって来た岡田。女の子らしく、お部屋でお菓子とジュースをおともにしての密談、出されているのはコカコーラとクラッカーヤマザキナビスコのプレミアムみたいなやつ)。ちょっと不思議な組み合わせである。

┃ ウィスキーとカクテル

上司・清水元の紹介で大会社専務・北竜二の娘・中山麻里と引き合わされた加山。彼女はアメリカ帰りで、加山の流暢な英語を褒める。で、なぜか英語で会話。この流れ、なんかすごい。リア充感が。
ここは若い二人にまかせて、ということで二人になった加山&中山は、バーカウンターでウィスキーとカクテルを頼んで歓談。加山はここではウィスキーを頼んでいるものの、普段はウィスキーは飲まないらしい。

┃ バー・武蔵野

加山行きつけの店、新宿「バー・武蔵野」。内藤のボーイフレンドで加山の後輩の東山敬司もこの店の常連だが、加山から内藤を連れてくることを固く禁じられている。しかし東山はママ・白川由美(彼女も加山のモテ関係のひとり)に頼まれ、内藤を連れてきてしまう。
実は戦前にも「バー・武蔵野」という店があり、ママは空襲で亡くなってしまったが、そこは北川パパの行きつけの店だった。現・武蔵野のママは旧・武蔵野のママを知っている?ようである。
この店で出されるお酒だが、登場人物に合わせて一応中身が変わっている模様。内藤の場合はジュースが出されていた。