大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『密告(たれこみ)』冷蔵庫の中身、パンと牛乳、井沢洋菓子店のケーキ、瓶入りのコカコーラ

密告(たれこみ)

8年の刑期を終えて出所した相良(安藤昇)を出迎えたのは、かつての舎弟・井沢(木村功)だった。相楽と井沢、そして花村(南廣)は8年前に土地ブローカーを暗殺したが、何故かそれがあらかじめ警察に密告されており、何者かによって銃撃された上に警察に踏み込まれて逮捕されたのだった。先に出所した花村は何者かに殺され、井沢は堅気となって妻子を養いながら洋菓子店を営んでいた。相楽は花村を殺したという「義足の男」(高松英郎)を探し、彼のボスである大場(安倍徹)を脅迫して真相を吐かせようとするが、やがて彼らが密告者ではありえないことに気づく。8年前の密告者は予想外の人物だった。

安藤昇主演のやくざものアクションサスペンス。
東宝アクション風だが青臭さがなく、落ち着いた雰囲気。暴力シーンがリアル路線で、マジヤクザにしか見えない安藤先生の殺陣が硬質な映像とマッチしていて良い。直前に観た『薔薇の標的』とストーリーの構造が近くて内容を混同しつつあるので、以下間違いがあったらすみません……


┃ 冷蔵庫の中身

相楽が出所すると、井沢が彼の住居を8年前通りに整えてくれていた。冷蔵庫の中身もちゃんとすぐ暮らせるようセッティングしてくれたらしい。さすが飲食店経営。しかし、その部屋には肝心のものがなかった。相楽の恋人だったみや子(沢たまき)の姿である。彼女は半年前に部屋を出てしまい、商社重役(佐竹明夫)の愛人におさまっていたのだった。

┃ パンと牛乳

井沢が整えてくれた部屋でさっそく暮らし始める相楽。朝食は大きなパンの塊と大瓶の牛乳。最近よくコンビニで売っているような巨大メロンパンみたいなサイズのパン(丸いフランスパン、みたいな感じ)をかじりながら、相楽は窓の外を見つめていた。目の前には一階に商店が入ったビルがあり、そこに森永ドライミルクの配達トラックが止まる。相楽はその様子を見つめながら、過去を回想するのだった。

┃ 井沢洋菓子店のケーキ

井沢はいまは「井沢洋菓子店」というケーキ屋を経営している立派な堅気だ。井沢自身がパティシエを務めており、井沢宅を訪問すると、井沢の妻・ひろ子(北林早苗)が彼の作ったショートケーキと紅茶を出してくれる。店の厨房では井沢が大きなスポンジケーキ生クリームを塗っているところだった。手前には仕込み中らしいロールケーキ数本がカットしないままでノッタリと置かれている(チョコ味とバニラ味っぽい)。

┃ 瓶入りのコカコーラ

「義足の男」を追跡する相楽が訪ねるストリップ小屋。猥雑な楽屋ではストリッパーが瓶入りのコカコーラをグイグイ飲んでいる。