大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『黒い十人の女』社食のカレーライス

黒い十人の女 [DVD]
黒い十人の女

テレビ局プロデューサー・船越英二は極度のチャランポランで、適当でフワフワした性格のため、女が寄ってきて仕方なかった。よって愛人がしこたまいたのである。そんな船越に愛想を尽かした愛人の零細印刷会社社長・岸恵子、正妻・山本富士子ら十人の女たちは彼の殺害計画を立てはじめる。それを知った船越は、山本に狂言殺人を頼むのだが……

┃ 社食のカレーライス

はじめのほうに、コマーシャルガールの中村玉緒がテレビ局の社員食堂でカレーライスを食べるシーンがある。正しく言うと、注文するシーン。実際に食べるシーンは抜かされている。
しかし、その後、戦後最大のチャランポラン男・船越英二が社食でカレーをモッシャモッシャと食うシーンがある。デザートに巨大な長方形のケーキ?もモッシャモッシャと食う。また、番組の本番中にも店屋物なんだか社食から持ってきたんだかわからない洋食(丸い平皿にライスが盛ってあるので、多分洋食)をモッシャモッシャと食う。この食ってるときの表情が虚無的で、エサとして食ってます感が満点である。彼は仕事の虫で、別に食事に快楽などまったく見いだしていないのがよくわかる。

また、彼の正妻の山本富士子はナイトクラブと料亭の中間のようなレストラン「カチューシャ」を経営している。バーカウンターは映るのだが料理は映らないので、どういう業態なのかはよくわからない。