大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『勝負は夜つけろ』洋酒

勝負は夜つけろ

船舶納入業を営む久須見(田宮二郎)は、大口の契約を取るべく多額の資金を必要としていた。久須見は部下の稲垣(川津祐介)の紹介で、バー「ドリアン」のマダム・斐那子(久保菜穂子)から金主のクチをつけてもらおうとするが、斐那子が紹介した高利貸しというのが過去に久須見と因縁のある男・井関(小沢栄太郎)だった。斐那子もまた金が入り用の様子だったが、井関は斐那子の父であり、斐那子は父親からは直接金を借りられないため、久須見を通して金を調達しようとしていた。久須見は斐那子の提案に乗り、自分が必要な500万円と彼女が必要な200万円、合わせて700万円を井関から借りることに。しかし、久須見が井関から700万円を借りた途端、稲垣の妻が誘拐され、多額の身代金を要求されるという事件が起こる。


港町を舞台としたサスペンスアクション。硬質なモノクロームの映像、外国船が出入りする神戸の港や片足義足で杖をついて歩く田宮二郎の姿などの雰囲気は抜群にかっこよいが、ストーリーにスットコドッコイなところがあり、そのとんま感に微妙な気持ちにさせられる一本。


┃ 洋酒

稲垣からの紹介でバー「ドリアン」を訪れた久須見は、接客をしているマダムの斐那子を遠くから見つめる。彼は以前から斐那子に異常に惹かれるものを感じていた。なぜなら、彼女の瞳の底にあるぎらつきは自分のそれと同質のものだと感じていたからだ。久須見の姿を認めた斐那子は、客のいない一角へ彼を案内し、カッティングの入ったブランデーグラスに洋酒をついで彼をもてなす。
以降、久須見が斐那子の自宅アパートを訪ねるシーン、久須見が井関の豪勢な事務所を訪ねるシーンで同様に洋酒が出される。