大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『女殺し屋 牝犬』お茶漬け、コーラ、葡萄酒とカタツムリ

女殺し屋 牝犬

とある大物代議士(三島雅夫)の政治生命を握るメモを持つ男が仮釈になり、その男がメモを公開することを恐れた代議士は東洋商事社長(高橋昌也)に彼の殺害を依頼。社長はヤクザ(南原宏治)に、ヤクザはチンピラ(大川修)に男の殺害を依頼し、チンピラは競馬場の予想屋オヤジからある殺し屋を紹介される。その殺し屋とは、和風スナック「香代」のママ、香代(江波杏子)だった。香代は秘密メモを持つ男を箱根のホテルで見事殺害するも、万全を期する代議士の策略により口封じとして殺されかかる。香代はチンピラとヤクザを恐喝(&殺害)して東洋商事社長のことを吐かせ、自分の店の常連であり社長の愛人でもあるモデル・ミカ(赤座美代子)を通じて社長に接近しようとするが、社長も逆に香代の存在に気付き……


鏑木創の音楽をBGMに針を研ぐ江波杏子がマジで怖い殺し屋映画。
話はザックリだが、女性の服がカワイイのと、江波杏子赤座美代子の百合っぽい雰囲気が良い。

┃ 和風スナック「香代」のお茶漬け

モデル・赤座美代子が撮影を終えて江波杏子の店へ遊びに来たときに注文するのがお茶漬け。だが、注文してすぐ彼女は「社長さん」との約束を思い出し、「また今度来たとき食べるね!」と店を飛び出してゆく。

┃ コーラ

殺しのターゲットが滞在中の箱根のホテル。ターゲットはただいまプールタイムだ。江波杏子は宿泊客を装いターゲットがプールのフローターの上で寝ているところを狙うが、そこでいきなり声をかけてくるのがくだんの赤座美代子コーラのCMの撮影で来ているという。江波杏子が「ミカちゃん、わたし、喉乾いちゃった」とあしらうと、彼女は嬉々としてコーラをもらいに舞い戻ってゆく。そしてそのすきに江波杏子はターゲットを殺害するのだった。
なお、プールサイドのテーブルには、飲みかけのコーラ瓶が2本置かれていた。

┃ ヨーロッパの葡萄酒とかたつむり

羽田空港の貴賓室。殺害以来のクライアント、三島雅夫江波杏子の抹消を依頼して自らは「がんばった自分へのごほうび」としてヨーロッパ旅行へ出かけようとしている。向こうでは政治のことは忘れ、葡萄酒を飲みかたつむりを食べてゆっくりする予定なんだとか。もちろんそんなことは問屋が下ろさず、江波杏子に延髄を針でぶっ刺されて死亡するのであった。
というか、貴賓室での壮行会(?)へ植木等並みのスイスイ〜っぷりで侵入している江波杏子が怖い。パーティーとは言え、どこの誰だかわからないヤツがそう簡単に貴賓室に侵入できるものなのだろうか。