大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『牡丹燈籠』飴売りの飴


牡丹燈籠

貧乏長屋で子供たちに読み書きを教えながら暮らす男・新三郎(本郷功次郎)は武家の三男坊で、先頃死去した兄の妻を娶らされそうになり、親族一同と不仲になっている。盆の燈籠流しの夜、新三郎は池の葦に挟まっていた燈籠を押し流してやったことをきっかけに、「お嬢様」と呼ばれる女郎・お露(赤座美代子)と仲居・お米(大塚道子)と出会う。新三郎はお露と惹かれあい、妓楼が休みになる盆のあいだだけでもとかりそめの祝言を挙げるが、実は彼女はこの世の者ではなかった。お露が幽霊と知った下働き・伴蔵(西村晃)は白翁堂(志村喬)に相談し、新三郎に幽霊の来訪を断れと進言する。そしてその夜もまた、新三郎のもとを訪ねるお露の「カラン……コロン……」という下駄の音が長屋に響き……


怪談「牡丹燈籠」の映画化。燈籠流しから盂蘭盆までの5日間という限定された期間に展開される怪異と悲恋を描く。怪奇趣味と西村晃小川真由美夫妻の滑稽な強欲の案配がよい。

┃ 飴売りの飴

新三郎は長屋で寺子屋を開いており、付近の子供たちが集まってお勉強中。しかし授業中、その側を飴売りが口上を述べながら通ったから子供たちはもうソワッソワである。近所のおかみさんに注意されて「いっけねえ!」となる飴売りだったが、新三郎はおもむろに立ち上がり、飴売りからを15個買って、後ろに隠して教室へ戻る。その様子を見ていた子供たちは急にお勉強に熱心に。微笑ましい。もちろん、子供たちはちゃんと朗読ができたご褒美に飴をもらうのであった。
ちなみに飴は白のペロペロキャンディといった感じで、円盤状の白い飴に棒が刺してあるものだった。