『怪異談 生きてゐる小平次』酒
怪異談 生きてゐる小平次時は江戸。しがない旅芝居役者、小平次(藤間文彦)と太九郎(石橋正次)、太九郎の女房のおちか(宮下順子)は幼少の頃より一緒に遊んでいた仲。今は一緒に旅芝居をしていて、将来は梨園の名家にも負けぬ立派な役者になろうと誓い合っていた。しかしながら小平次は以前よりおちかに思いを寄せており、「俺と一緒になってくれ」と繰り返していた。当のおちかはその気があるようなないような曖昧な態度でそれに応じていたが、彼女はある時妊娠に気づく。太九郎の子は産みたくないと小平次に打ち明けるおちかは旅の途中、わざと滝に打たれてその子を流した。しばらくして、太九郎と小平次はおちかを置いて旅芝居に出るが、その先で小平次が太九郎に「おちかを俺に譲ってくれ」としつこく迫ったため、太九郎は小平次を沼に突き落としてしまう。帰宅した太九郎は小平次を殺したことをおちかに告げるが、不思議なことに小平次が彼らの家に現われ……
幽玄な怪談映画。キャストは3人のみで、彼らの会話によってストーリーが進んでゆく。台詞はかなり芝居がかった口調で、舞台演劇調。加えて主人公たちの演ずる芝居のシーンもあり、こういう言葉を使うのはどうかとも思うが、いかにもATGな映画だった。