大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『南太平洋の若大将』肉まん、田能久のすき焼き、生わさびサンドイッチ、とうもろこし

南太平洋の若大将 [DVD]
南太平洋の若大将

水産大学の学生・若大将(加山雄三)は青大将(田中邦衛)、江口(江原達怡)らと実習船でハワイへやって来た。若大将は現地の日本料理屋「京屋」でチンピラに絡まれているところを助けたスチュワーデス・澄子(星由里子)に一目惚れ。帰国後も交際が続く。一方、京屋のご隠居・女将・娘の3人が墓参りに来日し、若大将の家「田能久」に泊まって東京を観光することに。京屋で田能久のすき焼きを扱いたいと言われた若大将は、お父さんから割り下を伝授されハワイへ旅立つ。


今度はハワイ・タヒチなどの海洋リゾートだよ若大将。
いつもは「京南大学」の学生だが、今回は「日本水産大学」の学生で柔道部。青大将のみレスリング部である。古澤憲吾監督につき田能久は浅草にある。スミちゃんはパンナムのスチュワーデス(後にグランドホステス)、相変わらず性格が悪い。

┃ 肉まん

若大将では定番のおやつ、肉まんはもちろん登場。遠洋演習から帰ってきた若大将におばあちゃん(飯田蝶子)が用意してくれている。お父さん・久太郎(有島一郎)も食べようとするが、手をぴしゃりとはたかれる。カロリーの取り過ぎで糖尿病になるおそれがあるので、エアロバイクをこいでからじゃないと食べてはいけないそうだ。外回りをしてきたからいいでしょと言い訳するお父さんかわいい。

┃ 田能久のすき焼き

ハワイの日本料理店・京屋一家も来日時には田能久のすき焼きを堪能。田能久の肉は神戸から航空便で取り寄せているものらしく、ご隠居・左卜全も「Good」とお気に入りに。田能久ではよくあるごっつくて厚い鉄鍋を使うのではなく、薄くて銅製の鍋を使っているようだ。銅製の鍋は熱伝導が良く煮え方が均等になるらしい。
後にはそんな京屋に頼まれて田能久のすき焼きを出張出品すべく、若大将がお父さんに指導を受けて割り下を作る練習をする一幕も。女将さんにホの字のお父さんは若大将に行かせるのが惜しく、うまくできても嫌がらせに「まだまだ!」と言うのであるが、おばあちゃんにこっそり味見用の割り下を店出しのものと入れ替えられてしまい、自分の作った割り下を飲んで「さっきよりまずくなった!」と言ってしまっちゃったりなどする。

┃ 生わさびサンドイッチ

そんなこんなでハワイへ旅立つ若大将……にひっついて青大将もホノルル行き便に乗り込んでくる。このとき青大将がパンナムバッグに入れて大事そうに抱えているのが生わさびサンドイッチ。ハワイには粉わさびしかないので、生わさびを持参しておいしく刺身を食べようというハラ。生わさびは現地の人にとても喜ばれるのだそうだ。しかし検疫では植物は持ち込めないことになっている。手荷物検査で引っかかることを想定してお弁当用サンドイッチにカモフラージュしているのだが、検疫ではやっぱり「じゃ、ここで食べてみてください」と言われて涙ながらに生わさびを丸かじりする青大将なのであった。

┃ とうもろこし

武道館で行われる学生柔道選手権に出場した若大将をテレビ中継で応援する田沼一家の前にはとうもろこし。ちょっと小ぶりのものをゆでたヤツだ。私も小さい頃は夏のおやつに茹でとうもろこしをよく食べたな。