大衆映画食堂

昭和の日本映画に登場する食べ物たちの記録

『関東おんな悪名』おにぎり、ブランデー

関東おんな悪名

屋台のラーメン屋を営む赤ちゃん連れの若夫婦がヤクザに襲撃された。妻は赤ん坊を友人・江島美樹(安田道代)の働く事務所前に置いて夫とともに逃げる。美樹は書き置きの手紙通り、大阪のおじいちゃん=島田組組長・志村喬のもとへ送り届けるが、島田は勘当した息子・一郎の子を預かるわけにはいかないと言う(しかしちゃっかり居候してしまう美樹)。島田一家は東西会と対立しており一触即発の状況だったが、ついに島田が街中で射殺されるという事件が起こる。ただ者ではない様子の美樹であるが、実は彼女は川崎のヤクザ・江島組の二代目だった。

女やくざもの。ネトネトしないサバサバ展開で見やすいが、安田道代はもう少し分をわきまえないと水谷良重(一郎の元妻で彼の帰りを待ちながら食堂を経営している)がかわいそうだ。天王寺の顔役・西村晃や九州からの流れ者・勝新、出所してきたばかりの東西会の古参・五十嵐(露口茂)らの顔ぶれにボリューム感があるが、見せ所があるわけではなく、とっちらかった印象。最後の殴り込みには勝新が助けに入るのかと思ったら、入らなかった。

┃ 出入りの腹ごなしのおにぎり

美樹が大阪に着くと島田組は出入りの準備真っ最中。下働きの男が一生懸命おにぎりを作っている。もちろんただの白米を握っただけのもの。美樹は彼にポットのお湯を借りて赤ん坊用のミルクを作る。

┃ ブランデー

天王寺の顔役・西村晃が九州からの流れ者・勝新と歓談しているときに飲んでいるのがブランデー。座敷で足付きの切り子っぽいブランデーグラスで飲んでいるのが優雅である。

┃ ラーメン(未遂)

冒頭に島田の息子・一郎夫妻がやっているラーメン屋台が登場するが、ちょうど客が帰ったところから始まるためラーメン自体は登場しない。屋台がひっくり返されて白煙が上がる程度。